飲食店においては、食材をいかにむだにせず使い切るかが重要です。
特に傷みやすい野菜や肉、魚介類などの生ものは、そのまま保存するには限界があり、保存性を高めるための仕事が必要になります。
ものによっては、作りおくことによって味が深まり、料理のおいしさのアップにつながるものも。
また、提供時の調理の単純化、作業時間の短縮化が可能になるなど、人手不足に悩む店にとっても心強い味方です。
そこで本書では、このように作りおくと便利なものを、和・洋・中の5人のプロに、その活用料理とともにご紹介いただきました。
どれも簡単で使いやすい便利なものばかり。自家製調味料やそのまま提供できる常備菜も役立ちます。
フレンチ・イタリアン、和食、中華の3部構成です。
フレンチは「ルカンケ」の古屋壮一さん、イタリアンは「パッソ ア パッソ」の有馬邦明さん、和食は「なすび亭」の吉岡英尋さんと「きんとき」の関口隆さん、中華は「飄香」の井桁良樹さんが担当しています。
更にフレンチ・イタリアンは「野菜・きのこ・豆で作る」「肉・チーズで作る」「魚介で作る」「調味料」に、和食は「野菜・きのこ・植物性食品で作る」「魚介で作る」「肉・卵で作る」「調味料」に、中華は「魚介・肉で作る」「野菜で作る」「調味料」に分けてご紹介しています。
調理時間の短縮に役立つ下処理済みの素材あり、おつまみや付け合わせに便利なマリネや煮込みありと、バラエティに富んだ内容です。
既刊本の「プロの味を決める ソース・たれ・ドレッシング・合わせ調味料」の姉妹書になり、表紙カバーや中身も、「プロの味を決める〜」に合わせたデザインです。
レイアウトはシンプルに、「料理のもと」の写真を紙面の上に配置し、その横に名前、説明、使い方や保存期間、そして作り方を載せ、合わせてそれを使った料理の写真とレシピをご紹介しています。
ものによってはひとつの「料理のもと」に、活用料理を2品以上ご紹介しているものも。
料理のもと」と、「活用料理」の写真とレシピを分けたことにより、仕込みと提供時の作業が分かりやすく、使い方もイメージしやすいと思います。
料理自体は簡単ですが、「料理のもと」の使い方、そして盛り付けなどにもプロらしいセンスが感じられます。
それぞれにプロならではの工夫やコツもあり、参考にしていただけるのではないかと思います。
たとえば古屋さんはシュークルートを作る際、生のキャベツを玉ネギと一緒にラードとニンニクで炒めてから、市販のシュークルート(ザワークラウト)を加えて軽く煮込みます。
少し味のきつい市販のシュークルートに生のキャベツの甘みと旨みを加えることにより、たくさん食べられるおいしいシュークルートになります。
また関口さんは、椎茸を焼いてから保存します。
すぐに使えるのはもちろん、料理にしたときの食感もよくなり、味も凝縮されて旨みが増します。
*編集部だよりは、こちら