和洋中あらゆる料理に利用できて調理法の幅も広く、価格が手軽な鶏肉。
「さばけて焼ければ1人前」といわれるが、つくりたい料理に合わせて鶏を手際よくさばき、最適な火入れができれば、ポピュラーな食材を、価値ある一品に仕上げることができます。
本書では鶏肉調理の基本である各種さばき方をはじめ、和洋中の鶏だしのとり方、定番料理などを数多くのプロセス写真を使って詳解。
モモ肉や胸肉の持ち味を100%生かすための加熱温度や時間、余熱を利用したしっとりとした柔らかな火入れ、皮をパリッと仕上げる方法など、プロならではの加熱の極意もよくわかります。
後半の部位別アレンジ料理では、鶏の各部位の特徴を生かした4人のシェフのアイデアあふれる料理が登場し、鶏の最新調理科学を解説したコラムや国産地鶏銘柄鶏の仕入れガイドも役に立ちます。
冒頭には仏、伊、日、中、どんな業種にも共通の丸鶏のさばき方各種、ローストチキン用のブリデの手順、内臓の下処理などをプロセス写真つきで詳しく解説しています。丸のまま加熱するか、部位に分けて骨をつけたまま加熱するか、骨を抜いて切り身にして加熱するかなど、つくりたい料理によって求められるさばき方がまったく違います。
さて、さばき方をマスターしたら次はいよいよ料理篇。仏、伊、日、中の順に各種鶏だしと定番料理を詳細なプロセス写真つきで解説しています。シェフたちがそれぞれの店で使っている鶏だしのとり方を公開。定番料理をつくりながら、基本的な火入れの方法を学びます。
定番料理で火入れの基本を学んだら、次は応用篇。胸肉、ササミ、モモ、手羽、挽肉、皮・首肉、内臓など、鶏の各部位をあますところなく利用した料理が登場。和洋中のエッセンスを上手に自分の料理に取り入れれば、鶏料理のレパートリーが増えること間違いなしです!
背幅が18ミリの少々厚い本なので、開きやすくするために左右幅が広い本のサイズを選択しました。プロセス写真も極力大きくレイアウトし、鶏のどこに包丁を入れたらいいか、また適切な加熱の火加減はどれくらいなのかを目で見て判断しやすくしました。
これまではパサつくからと敬遠されていた胸肉をしっとりと加熱する方法、食欲をそそるこうばしい焼き色を均等につける方法、北京ダックのように皮をパリパリに仕上げる方法など、和洋中のシェフがそれぞれの得意分野でおいしい加熱のコツを教えてくれるのも本書の魅力です。
ところで最近鶏肉にはアンセリンとカルノシンという疲労回復物質の含有量が多いことが解明されました。皮さえ除けば非常に低カロリーであり、良質のたんぱく質源となるヘルシーな食材でもあります。鶏肉の栄養効果やうま味成分を増やす加熱方法といった最新の調理科学について、実際の厨房で役に立つ知識をわかりやすく佐藤秀美先生が解説するコラムも見逃せません。
*編集部だよりは、こちら