野菜料理の魅力はヘルシーなだけではありません。
だしに負けない旨みや、フレッシュな食感、季節感あふれるさわやかな香りは、野菜ならではのもの。野菜をソースや和え衣に利用して魚介に合わせたり、粗くすりおろして肉に添えたり、細かく刻んで食感を変えたり、ピュレ状にして固めたり。
さまざまな技法で相性のよい野菜を組み合わせれば、高価な魚介や肉の量を抑えても、おどろくほど価値ある一品をつくり上げることができます。
コース主体のお店なら、コース内に野菜料理を2、3品加えれば、バランスよく緩急をつけることができます。
本書では、野菜のみでつくった料理と、たっぷりの野菜で魚介と肉をおいしく味わう料理を166品紹介。プロならではのアイデアあふれる野菜使いのテクニックは必見です。
※書名の「8割」は正確な野菜の分量を示したものではなく、「野菜たっぷり」のイメージを表現したものです。
第1章では、野菜を日本料理に効果的に生かすコツや秘訣をまとめました。それぞれの野菜の特徴を知ることの大切さ、新しい調理法や洋野菜、サラダなどを献立に取り入れて、お客様の心をつかむ技術などを解説。
また野菜のみずみずしさや香り、フレッシュな食感を生かした各種野菜ソースも併せて紹介します。
第2章の料理編では、野菜を種類ごとに50音順に並べて使いやすい構成にしました。魚介や肉などの高級素材を使ってご馳走感を出しつつ、原価の許容範囲に納める工夫が満載です。
第3章では桂むきをはじめ、野菜の飾り切り、芋類の煮含め方など野菜調理の基本を解説。野菜の加熱の温度や時間など、近年明らかにされた調理科学に基づいた方法を紹介しました。
赤や緑。野菜の美しい色を生かした料理を数多く紹介。より野菜感を高めるために、野菜の形をアピールした料理も登場します。
「分とく山」の野崎洋光氏は伝統的な日本料理に野菜を上手に組み合わせた料理を、「青山えさき」の江崎新太郎氏は、自ら「えさき料理」と称する料理を披露。野菜そのものの形や味を極力生かしつつ、西洋風な技法を取り入れた日本料理を得意としています。最も若手の旬菜おぐら家の堀内誠氏は、アワビやハモなどの高級素材に野菜をたっぷり合わせた料理や、野菜の飾り切りを使って華やかに演出したお造り、季節のコロッケなど、和食の枠をはずさずに創作性の高い料理をつくってくれました。
1年を通して撮影を行なったのでさまざまな野菜が登場するのも魅力。野菜中心だが、旨みもボリュームもたっぷりの満足できる料理をそろえています。
*編集部だよりは、こちら