料理人の仕事=「おいしい」の要因の追究
「おいしい」の要因がわかれば、おいしいものが作れる。
ロジカルに料理するのが料理人で、それによって料理が発展する
本書は、『月刊専門料理』の人気連載「京料理のこころみ」の書籍化第2弾です。2015年8月に刊行した野菜編に続き、本書では魚介をテーマとしています。
9人の日本料理人からなる「柴田日本料理研鑽会」のメンバーが12の魚介をテーマ食材とし、それらの魚介を使った料理の発想・調理・表現の方法を、試作品を通じて論じた議論をまとめています。
9人の料理人の料理(試作品)と議論を見て、読むことで、プロの料理人が何を考えて、どうやって料理を作っている(構築している)のかを理解することができるはずです。
また、第1弾の野菜編と同様に本書でも、取り上げている魚介や議論の内容について、農学博士・川崎寛也氏(味の素(株) イノベーション研究所)による科学的な解説・見解を添えています。この解説・見解は、12の魚介の食材としての具体的な特性や、うま味成分の効果的な活用法などに言及しており、「おいしさ」を科学的な角度から理解するための知識、情報がふんだんです。
加えて、211〜217ページには川崎氏によるコラム「おいしさの科学とデザイン」を掲載。川崎氏は「『おいしい料理』を作るために何が必要かを本質的に考え、デザインすることが『おいしさのデザイン』である」とし、このコラムでは、おいしさを科学的に理解するために「うま味」についての解説を中心に行っています。
【掲載食材】
01 アイナメ
02 ハモ
03 ズワイガニ
04 アサリ
05 ウニ
06 サケ・マス
07 イカ
08 アマダイ
09 ホタテ
10 イワシ
11 タコ
12 アナゴ
【柴田日本料理研鑽会とは】
柴田日本料理研鑽会は1966年(昭和41年)、柴田書店が刊行する『月刊専門料理』誌上で誕生しました。
とかく閉鎖的といわれた日本料理の世界に風穴を開けて活性化し、知識・技術のレベルアップを図り、健全なる日本料理の発展に尽くすという主旨のもと、京都の6軒の料理店の主人および料理長で初代研鑽会はスタートしました。その志を引き継ぎ、1982年(昭和57年)に2代目・研鑽会が、そして2002年(平成14年)に現・研鑽会が結成されました。
「料理を論理的に考え、論理的に作る。」この言葉の意味を知るためのたくさんの手がかりが詰まった、日本料理やフランス料理といった料理のジャンル不問の一冊です。