日本料理の椀物は、料理人が献立の中でもっとも力を入れるジャンルです。
それを盛りつける美しい器もまた、漆工芸の技法を尽くした日本が誇る芸術品です。
椀こそが日本料理の魅力と技術の粋を表す“日本料理の華”といっても過言ではありません。
本書では東京、京都、大阪のトップクラスの料理人が作る季節の椀料理の数々を披露。
2009年に月刊専門料理誌上で連載された奥田透氏の「季節のお椀12か月」に、祇園末友、北新地弧柳での新規撮影を加え、掲載料理数は連載時の倍以上に。
椀物52品と、椀替わり9品を掲載しています。
料理は春夏秋冬の季節ごとに並べ、それぞれの調理プロセスを写真つきで解説します。
また料理を盛りつけた器を見込みや蓋裏も撮影し、一覧できるように、春・夏と秋・冬の2つのコーナーに分けて折込みページで収録しています。
使用食材の索引も、椀種とあしらい、吸い口、椀地に分類して利用の便を期しました。あしらいとして添えた白ネギと、吸い口として天に盛る白髪ネギとでは意味合いが異なると考えたからです。
それはここぞという実力のある料理人さんにお願いしなければならないうえ、一度に撮り溜めするのに不向きという、難度の高いジャンルだから。
そうした貴重なチャンスを最大限生かしたくて、普段の料理写真では画面の外だったり伏せてあったりでお見せすることのできない、椀の蓋や見込みの意匠も撮影いたしました。
料理ももちろんですが、器の美もご覧いただければと思います。
*編集部だよりは、こちら