東京・銀座に本店と新館を構え、名だたるシティホテルにテナント出店を果たす「銀座久兵衛」。先代が興した店を7店まで拡大した経営を支える、銀座久兵衛のすべての仕事を網羅した待望の1冊です。
商売の心得にはじまり、接客時の身だしなみや所作、包丁の握り方、握りの手順といった新人向けの頁も充実。鮨にかかせないシャリのきり方や煮きり醤油、ワサビのおろし方、笹切りのし方など、脇役たちの仕込みについても詳しく解説しています。目玉は久兵衛が実際に店で仕入れている魚介の主産地と時期をまとめた冒頭の旬カレンダー。久兵衛の魚はどこから仕入れているか、興味深いところです。
本編では43種の魚介のおろし方や目利きなどをプロセス写真入りで解説。握りに適したロスの少ないサイズやおろし方、保管のし方などについて1魚種ずつていねいに解説しています。鮨店ならではの魚介のつまみ、ちらし、巻きもの、テイクアウト商品などの手順についても同様にプロセス写真を使い、詳細に追っています。
一番いい季節に、いい状態のネタを紹介するために1年をかけて撮影しました。
魚によっては鮮度のよさをもとめるネタもあれば、少しおいたほうが旨みが増すネタもあります。そして、ネタは大きければいいというものではなく、シャリとのバランスが大切だといいます。魚ごとの仕事の頁では、握りの写真をを大きくレイアウトしてその絶妙なバランスを見ていただきます。魚介類をおろすプロセス写真は、包丁の入れる角度や方向をわかりやすく見せるために大きく見せ、作業の流れがよくわかるように数多く写真を使っています。
そしてこれまできちんと解説されたことがなかったブロックのマグロから赤身、中トロ、霜降り、大トロをとるサク取りのし方もプロセス写真とともに詳しく解説しました。
本店の店頭には、この手の有名鮨店にはめずらしく、鮨の価格が入った品書きがおかれています。常連客と一見の客を区別することなく、気持ちよく迎えておいしい鮨を食べていただく。これが商売を拡大した銀座久兵衛の繁盛の極意なのかもしれません。
そんな久兵衛のノウハウがぎっしり詰まった1冊です。おいしいお鮨(の写真)をどうぞ堪能してください。
*編集部だよりは、こちら