魚介は日本料理の主役。水揚げ直後の活〆や下処理、流通など、魚介をとりまく環境が改善されてきて、和食店で提供する料理は質のよさを前面に出したシンプルなものが主流になってきました。
本書のテーマは、活き活きとした旬の魚介の持ち味をどのように生かしていくかということ。余分なものを削ぎ取ったうえで繊細な香りや旨みを加えていくワンランク上の巧みな魚介づかいを、魚介料理に定評がある東京と大阪の3店の割烹料理店に紹介していただきました。
第1章では、定番料理をプロセス写真つきで詳解。受け継がれてきた伝統の手法にアレンジを加えた現場で役立つ技術を解説します。第2章では季節の魚介を使った創意工夫あふれる魚介料理の数々が登場します。
第1章の定番料理18品の工程を追ったプロセス写真は、なるべく大きくレイアウトして細部まで見やすくしました。三枚おろしなどの水洗いから、魚を炊き上げるといった魚調理の基本技術を、この章で学んでください。
第2章では1年を通して出回る60種以上の魚介類を取り上げて50音順に並べ、その季節に合った料理120品あまりを紹介しています。仕上り料理を見開き2頁で紹介し、次の見開き頁で材料とつくり方を解説しました。
「鯛かぶら」や「鰤大根」など、料理名だけを見ると定番の料理が目に浮かびますが、旬の出会いものを新しいスタイルで組み立てて別の料理に仕上げています。このあたりの楽しさも見逃せません。
最後の索引頁では店別索引と、料理のカテゴリー別索引の二通りを用意しました。
*編集部だよりは、こちら
*お詫び*
p29で紹介したキャビアの塩漬けの材料であるシベリアチョウザメについて。採卵後の肉は食用には向かないとしましたが、サメと違ってチョウザメは生食でも十分おいしく食べることができるそうです。お詫びして訂正いたします。