本書における西インドとは、ラジャスタン州、グジャラート州、マハラシュトラ州、ゴア州の4州を指します。
地理的、そして歴史的にさまざまな影響を受けて発展した西インドの料理は、実に多彩です。地理的には、野菜も育たない砂漠地帯があるかと思えば、洪水に悩まされるモンスーン気候の地域もあるといった多様性が、そして歴史的にはムガル帝国の台頭や、ゴアを占領したポルトガルなど諸外国の影響が、さまざまな形で料理に反映されています。
そんな西インドの味を、日本で手に入る材料を使ってできるだけ忠実に再現したのが本書の料理。
イギリス系インド人の夫をもつ著者の、本格的なスパイス使いが参考になります。
州ごとに料理を掲載しています。さらにラジャスタン州は、乾燥地特有の風土が育んだ「ラジャスタン料理」と、ムガル帝国の宮廷料理である「ムガル料理」。グジャラート州は、ベジタリアン料理と軽食の宝庫である「グジャラティ料理」、ペルシャ料理が地産素材と融合した「パーシー料理」。マハラシュトラ州は、多様な風土と民族の間で生まれた魅力的な野菜料理と肉料理が特徴的な「マラティ料理」。マルティカルチャーをとり込んだ、屋台料理やカレーが楽しい「ムンバイ料理」。ココナッツと魚介が特徴的な、「コンカニ料理」。そして、ポルトガルと南インドのエッセンスが加わった、ゴア州の「ゴア料理」に分けて紹介しています。