「制限」が表現の可能性を広げてくれた――。
2017年、自分の店があるイタリア・ローマで暮らす私のもとに、「FAROのシェフに」との打診がありました。このオファーを、私はある決心とともに引き受けました。ヨーロッパで浸透しはじめていたヴィーガン料理を提供することです。それも、日本の食材を生かした、ガストロノミーを追求したヴィーガン料理を。動物性たんぱく質の生産――つまり畜産や漁業がもたらす地球環境への負荷について考えれば、肉や魚を使わないヴィーガン料理は今後の社会には絶対に必要で、これからの日本でも必ず求められる。だから、新生FAROではヴィーガンのコースを提供すべきだ、というのが私の考えでした。
本書は月刊誌『専門料理』で連載した内容と、2021年から22年にかけて1年間撮りためたコース料理の撮り下ろしで構成されています。前半には日本語以外の方にも楽しんでいただけるよう、英語の翻訳をつけました。ヴィーガン料理は「制限」ではなく、表現の可能性を広げるものだということを、本書を通して知っていただけたら幸いです。
能田耕太郎
ガストロノミックでクリエイティブな130品超を掲載
ヴィーガン料理を構成する11のメソッド
1.ヴィーガン・バター
2.卵不使用のパスタ
3.ヴィーガン・チーズ
4.自家製うまみ調味料(みそ・しょうゆ)
5.コンブチャ
6.サステナビリティ
7.メイン料理の役割
8.油脂の使い方
9.熟成(黒ニンニク・黒バナナ)
10.オリエンタルな野菜
11.オリエンタル・ヴィーガン
季節とテーマに沿ったヴィーガン・コース9本、デザート
・春のコース1、2
・初夏のコース
・夏のコース1、2
・ノンアルコール・ペアリング1
・秋のコース1、2
・冬のコース
・高野山コース
・ヴィーガン・コースを締めくくるデザート
※「FAROのヴィーガン・ガストロノミーを構成する11の要素」は日本語・英語を併記しています。