いま飲食業に求められるのは、ノウハウより、考えかた。大不況の時代にも対応できる飲食店をつくるには、もうノウハウを学ぶだけではダメ。柔軟に変化し、成長できる組織をつくることが大事です。そのための考えかたを1冊の本にまとめた、これまでにない飲食業のための経営書です。
飲食店はモノマネになりがちな「ノウハウ」を学ぶのではなく、オリジナリティを実現するために、「考えかた」を勉強するべきだ、ということ。飲食店は労働集約型ビジネスで知られ、激務のため人材の流出入も多いのが特徴です。「何のために飲食店で働くのか」という問いに、答えを導き出す、飲食業への愛とエールの詰まった1冊です。
著者の株式会社ゼットン代表取締役の稲本健一社長は、飲食業界、とくに若手経営者からは絶大な支持を得ている兄貴的な存在。先輩経営者たちからも、次世代のエース格と目されています。チェーンレストランの衰退が著しいなかで、多ブランド展開という新しい経営手法と、公共施設での飲食再生に着目。独自の経営戦略は常に注目の的です。
飲食店経営者はもちろん、オーナー志望者、幹部の勉強にも。スタッフの教育にも役立つ一冊です。
「飲食店はもう二度とやらない」
帯に書かれた文字にどきっとすることでしょう。裏返すとそこには、ずらりと飲食業界の重要人物の名が。本書を推薦する皆様です。
じつはこのメッセージ、こう続きます。
「---ただし、次の人生では。その代り、今回のこの人生のすべては、飲食店に捧げます。」
激戦マーケットである飲食業で生き抜くための決意表明なのです。飲食業は高い志がなければ、長く仕事を続けることができないといわれています。それほど大変な仕事ですが、本書はそんな業界で働く人々へ熱いエールを捧げるとともに、生き抜くためのヒントを教えてくれます。
背表紙側には「わたしたちが推薦します!」の文字とともに、飲食業界、デザイン業界の著名人の名前が並びます。著者が本を出すと連絡した際に、喜んで推薦の意を寄せてくださった方たちです。著者の人脈の広さ、人望の厚さをリストからうかがうことができます。
「本音で語る」というテーマを表すために選んだカバー色は「白」。文字は黒と一部の赤だけで構成し、シンプルなデザインにまとめました。
インパクトの大きな言葉「飲食店はもう二度とやらない」(帯)をストレートに目立たせるように、書名のフォントサイズも思いきって小さくしています。176頁の本ですが、働き手世代が仕事の時でもそばに持ち歩けるようにという思いから、スリムで持ちやすい軽さにしました。
巻末には2005年11月から2009年9月まで公開したブログ「イナケンが行く!」を抄録しました。「飲食店の社長さんはこんなことを考えているんだ」「仕事への熱い考えに共感できる」と若い世代のネット読者に支持されていたブログ。いま改めて読むと、ブログを書く=考えを文字にするという体験を通して、時を追うごとに著者の考えが深化していることがうかがえるのも興味深い点でしょう。
「天職はある日突然天から降ってくるものじゃない。いまの仕事が自分自身にぴったりだと思えたら、それこそが天職」
(「辞めない覚悟をする」より)
あるいは
「先輩から学んだことはたくさんあるけど、もっとも大切なことは何かと尋ねられたら『理不尽』と答えます」
(「理不尽を笑う」より)
飲食の現場で著者が得た発想や人生観は、飲食業以外の人の心にも響きます。迷いがある時や落ち込んで自分を探している時に、あるいは大きな決断の時にはそばに置いて、そっと読み返したい、読み手に勇気をくれる本です。
*編集部だよりは、こちら