本書は、飲食店の店舗設計に関わる人――開業準備中の方、外食企業の企画スタッフ、フードコーディーネーターを志す学生、インテリアデザインの基礎を学ぶ人などを対象に、時代に適合した飲食店の業態コンセプトをまとめたものです。
業態コンセプトは平面計画の立案、フロアから厨房施設、動線設計の詳細まですべてが適合しなければ意味を持ちません。さらに業種・業態に即したメニュー提案やアイデアも重要です。トレンドに流されない30業態店のベーシックな平面図、店舗造作、メニューをスケッチと写真とで分かりやすく図解した飲食店づくりの実務書です。
飲食店の店づくりに必須なのは、需要に即した情報を集め、店舗づくりや空間構成に活かすこと。本書では便宜上、『和食』『洋食』『立ち食い・立ち飲み』『食べ放題』の四つに括り、いろいろな要素を具体的に検討し、設計に落とし込んだ30業態の飲食店づくりを網羅的に見ていきます。
いまの時代、共通する項目は、価格が安く、しかし、料理はおいしくなければリピートに繋がりません。つまり、かなりの付加価値が提案できなければ、集客力は上がらないということ。特に、品質に軸足を置いたメニュー提案は、重要なポイントになります。
飲食店は、企画する業態のメニュー、価格、サービス、インテリアデザイン、食空間など、すべての要素のバランスが取れている必要があるのです。
本書は、あくまで飲食店の基本形態に沿う施設設計を軸足にしています。なので、ファミリーレストランのような業態も入っているのですが、FRにはレストランをつくる場合の原則が散りばめられています。決してトレンドに振りまわされず、原理・原則を踏まえた店舗設計と業態解剖が本書のミソ。
基礎をベースにイメージを膨らませることが特異な、独自の店づくりにつながるわけで、この順番を逆に捉えている店舗設計があまりにも多いのが現状。今こそ基本の“キ”を見直す時です。
本書の特徴は、飲食店の作り方を基礎から学びたい人、文章で学ぶよりビジュアルに理解したい人たちのためにスケッチ、写真画像を中心に全体を構成している点。店内スケッチから平面計画、さらに細部の詳細ディテールに至るまで、飲食店の空間を立体的に捉えられるような造本としました。これにより理解力を深めることができ、飲食店づくりに関わる人たちのための実務的な参考書となっています。これから店を開こうとする人、飲食店を企画する人に役立つ内容です。
*編集部だよりは、こちら