「店長しだいで店の数字は変わる」とよく言われるように、外食業界において店長の重要性は広く認識されています。
しかしながら、多くの企業では店長=店の管理者という位置づけにとどまっているのが現状です。現場のパート・アルバイトを管理せよ、原価や人件費を抑えろ、利益が予算に届いていない・・・・。
本部から管理ばかりを要求される店長にはストレスがたまり、利益を出すためにコストを削った結果、店はどんどん陳腐化して売上げと利益がさらに下がっていく。近年、こういう悪循環に陥る外食企業が多く見られます。
著者が主張する店長の役割は、そうではありません。店長は単なる管理者ではなく、お客の満足を得て客数と売上げを高めていく存在なのです。
それが店長に課せられた責任であり、その責任を果たした結果として利益があるのです。
そうであってこそビジネス成功の鉄則であり、お客と企業がWin-Winの関係になることができるのです。
店長の本来の役割は何か、本来の役割を果たせる店長を育成するためには何が必要なのか。そのすべてを明らかにしたのが本書です。
「プロローグ」と「エピローグ」を挟んで、本編は4つの章で構成。
「オペレーションと準備の技術」からはじまり、「採用とトレーニングの進め方」、「店長の数値管理の技術」、「部下の育成」と、店長が現場で果たすべき任務をわかりやすく解説します。
一貫しているのは「顧客満足」が絶対の評価基準であること。それが端的に表れているのが「コストはお客さまの満足を得るために使うもの。標準より少ない場合こそ問題にしなければならない」という指摘です。
これこそ本来のコスト管理であり、それができる店長を育成することが大競争時代を勝ち抜くための条件、と筆者は主張します。
店長が果たすべき任務と合わせて、その任務を果たせる環境や仕組みづくりの大切さを説いているのも本書の特徴。
とりわけ重要なのが帳票類で、ワークスケジュール表や日報などをあるべきモデル例を挙げつつ解説します。
これもまた、管理することが目的ではありません。あくまで顧客満足を高め、その結果として客数と売上げを上げるために帳票類を活用することが大事なのです。
外食の現場を知り抜いた著者ならではの、真に実戦的な店長論は、連載中から大きな反響を得ました。著者は大手外食企業のロイヤル(株)で「ロイヤルホスト」全国展開の陣頭指揮をとり、多くの店長、その上司であるエリアマネジャーや経営幹部を育成してきました。
コンサルタントに転じてからも常に現場目線を貫き、競争の最前線に立つ店長育成に重点を置いた指導で目覚ましい実績をあげています。
その育成ノウハウが1冊に詰まったのが本書。
チェーン展開する外食企業はもちろん、支店経営や個人店を含めて「強い店をつくりたい」と考えるすべての人必見です。
*編集部だよりは、こちら