お菓子の基本である生地作りとクリーム作り、お菓子作りに欠かせない基本材料について、「どうしてこうなるの?」「なぜこうするの?」という素朴な疑問に、科学の視点を交えて、1問1答形式で答える、やさしい製菓技術の科学解説書です。
辻製菓専門学校主任教授の中山弘典先生と、調理科学分野で活躍する木村万紀子先生による、技術と知識のコラボレーションから生まれた1冊です。
既刊の調理科学書は文章の解説が主でしたが、本書ではカラー写真を多用しているため、目で観ることで理解していただけるのではないでしょうか。毎日くり返してきた製造工程を科学で解説するという、より現場の状況に即した内容が特徴です。
本書は3つの要素で組み立てられています。まず最初は「お菓子作りをはじめる前に」。この章では、あまり知られていなかったお菓子の話を中心に展開します。
次は「お菓子作り方のなぜ?」です。ここでは生菓子や焼き菓子の基本となる7つの生地と6つのクリームを取り上げます。
各チャプターとも冒頭では、作り方を追いながら、混ぜているときや焼いているときに、お菓子の内側では、何がどのように影響して、どんな変化が起こっているかを細かく解説しています。このプロセスがわかれば、生地の配合や混ぜ方に変化をつける理由がよくわかります。この理由が理解できれば、思い通りの食感や味の変化をお菓子に生かせるようになるはずです。
最後の「お菓子材料のなぜ?」では、お菓子作りの9つの基本材料の特性を解説します。お菓子作りに役立つという視点でまとめてました。
第2章の「お菓子作りのなぜ?」では、Q&AのQマークの下に星がついています。技術の難易度によって星の数は変化します。1つは初心者向けで、星が増えるにしたがって難易度が上がります。
本文中の写真は、焼く前の生地の状態や、焼きあがりの比較が中心ですが、比較しやすいように撮影環境、撮影条件を一定にするのはもちろん、印刷段階でも通常の料理写真などよりも、写真のせん数(緻密さ)を細かくして、質感や色、輪郭などを、より正確にお伝えできるようにしています。
おいしい、まずいという試食ではなく、これらの違いが食感や味わいなどにどのようにあらわれるかの統計をとりました。これらの結果も参考にされています。生地の配合、混ぜ方、温度、あるいは小麦粉や砂糖の種類などを変えたときに、仕上がりがどうなるかといった内容は、オリジナリティのあるお菓子作りのために欠かすことはできません。カラー写真を採用してビジュアルにうったえた、待望の調理科学書です。