「味」および「香り」は、食に携わるプロにとってはもちろん、一般の人々にとっても、
身近で興味深いテーマです。そんな味と香りに関するあらゆる質問に、科学的観点から答えていただいたのが本書。
著者は、料理人からの信頼も厚い川崎寛也氏です。味覚はなんのためにあるのか? 食べるときの音と味の関係は? といった素朴な疑問から、飲食に携わるプロにとって役立つ高度なものまで、幅広い内容のQ&Aが並びます。読み物としても十分楽しんでいただけますが、もちろん実践にも役立つ内容です。
味や香りについては間違った思い込みも多く、経験や勘に頼りがちな部分でもありますが、科学的な根拠やデータを知ることで、食材や調理作業への理解が深まります。
科学的な見地から書かれた読み物は、どうしても内容が硬くなりがちです。そこをどう読みやすく、親しみやすくするかが難しいところですが、本書は、できるだけ身近で基本的な疑問(「味覚・嗅覚全般」)からはじまり、徐々に高度な内容にも踏み込みながら、自然に理解が深まるような構成になっています。
「素材の味・香り」「調理と味・香り」「新しい料理を考える」「風味×風味」の章は、特にプロむけのQ&Aを多く含みますが、一般の方にとっても、興味深い内容ではないかと思われます。
理解を助けるために図表やイラスト、写真も多く使用しています。引用・参考文献名も巻末にまとめて掲載していますので、更に深い知識を得たい方にもお役立ていただけるのではないでしょうか。
*編集部だよりは、こちら