「料理人は料理だけ作っていればいい」という時代は終わり。オーナーシェフともなれば、素材の仕入れ、スタッフの育成やお客との付き合い方など課題は山積み、その合間をぬって料理もブラッシュアップしていかなければ時代に取り残される……。
そんな悩ましく多忙な仕事に取り憑(つ)かれ、「料理人は最高の仕事!」と言い切る3人の親父(ベテラン)シェフが、修業を始めるところからフランス現地修業、独立、スタッフの問題、ひいてはリタイアまでを本音で語ります。現在オーナーシェフの人ならおおいに共感し、将来オーナーシェフをめざす予備軍なら必ず役立つこと間違いなし。
食べることが大好きなレストランマニアの人にも、興味深い話が満載です。月刊『専門料理』の好評連載に大幅加筆した、待望の1冊です。
本書は3人の座談会がメイン、最後に3人のシェフのプロフィールと仕事風景を掲載しています。3人が考え、話したテーマは以下の12テーマ。いずれも料理人やレストランに携わる人にとって、とても大切であり、そのぶん悩みも尽きないテーマです。
「レストランの安全」にもの申す
「素材」にもの申す
「修業のスタートライン」にもの申す
「自分の店を持つ」にもの申す
「オーナーシェフの仕事」にもの申す
「独立後の勉強法」にもの申す
「スタッフ」にもの申す
「お客」にもの申す
「親父シェフの将来」にもの申す
「フランス料理、今後の発展」にもの申す
「料理の進化」にもの申す
他に、「3人のシェフと3店のレストラン──親父シェフの日常の仕事」と題して、シェフたちのプロフィールと、築地への買い出しやスタッフとまかないを食べる様子、これまで書き溜めたノートなど、仕事風景を切り取った写真も掲載しています。
著者は、現在、日本のフランス料理界のトップに立つシェフ3人です。それぞれ50代半ばの現在も毎日厨房に立つ根っからの料理人であり、自分の店を長年繁盛させ続ける優秀なオーナーシェフでもあります。
そんな彼らは若手料理人にとって憧れの存在。本書はトップシェフたちの料理や店に対する姿勢や考え方、ひいては「生き方」を知ることができる貴重な一冊です。
(2) 親父シェフならではの本音トーク
30年以上料理を作り続けてきた、ベテランシェフならではの話が満載です。
たとえば、食の安全が問われる中、シェフたちはこの問題にどう対処しているか。
お客さんに飽きられないためにどうやって新しい料理を考えるか。
年齢が離れたスタッフをどう育てるか。
シェフたちが好きなお客と嫌いなお客は。
いつまで厨房に立ち続けるか。シェフたちの老後は?
……など、通常の料理本ではけっして語られることのない、でも実はすごく大切でみんなが悩んでいることについて、料理人を代表して3人の親父シェフが真剣に考え、語ります。きれいごとやカッコイイ台詞はいっさいありません。時に泥臭く、時に笑いを交えながらの率直な話には、料理人ならずとも学ぶべき点がいっぱいです。
「フランス料理」「レストランという仕事」に興味がある人なら、誰でも気軽に読んでもらえる本です。