鮨職人の魚仕事
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真梶木の腹身鮨のタネでは「赤身」に分類されるマカジキですが、見た目はサケにも似て、うっすらとオレンジ色がかった透明感のある色が特徴です。脂がよくのっていて、触感は柔らかくなめらか。脂には甘みもあり、クセのない素直なおいしさです。昔はマグロよりもマカジキを好む方も多かったと聞きます。ちなみに、メカジキとは種類が異なる魚です。季節は晩秋~桜の花の散る頃。ただ、最近は水揚げ量が限られているうえに料理店でも重用されているので、鮨店では簡単に手に入らないむずかしさがあります。当店では長年使い続けていることから継続的に仕入れることができ、仲卸との信頼関係がとりわけ大事な食材かもしれません。マカジキは背ビレ下の両脇にある「分かれ身」がとくに肉質がよく、鮨ダネに向いていますが、当店ではマグロでいえば大トロにあたる腹身白身の仕込み光りものの仕込みに限定しています。脂がたっぷりのってマカジキの個性が際立った部位と思います。1尾分の腹身をまとめて仕入れますが、鮮度はもちろん、脂ののり、色みと三拍子揃っている上質のものでないと、鮨ダネには使えません。店では鮮度のよいうちに3種類の紙で包み、ビニール袋に入れて氷詰めして、2~3日間ねかせてから使います。脂を全体にまわし、身をより柔らかくするのが目的です。あとは身の内側にある内臓膜と外側の皮を除いてサクに切るだけですが、これがなかなかにむずかしい。身質が柔らかいうえに、蛇腹といわれる筋の層がたくさんあるため、皮を引いたり切り分けたりする際に、層がずれて伸びてしまったり、バラバラに崩れたりしかねません。包丁の角度、動かし方、スピードなど、このあたりのコツは経験を重ねて体得することです。海老・蝦蛄・蟹の仕込み烏賊・蛸の仕込み貝の仕込みブロックの下側にある皮は切り離さずに、身の部分のみサクの大きさに切り分ける。今回の場合は2等分(写真右)。次に、それぞれの身から皮をはがす(左)。サクの単位で皮を引いたほうが身は崩れにくい。この後、タネ用に切りつける時も筋がばらけやすいので、筋に対し垂直方向に一気に切り離す。その他の仕込みサクに切り、皮をはがす25 脂ののったなめらかで甘みのある腹身を使う
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