パンストック 長時間発酵のパンづくり
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025ホップ種ホップを利用した酵母種。爽やかな苦みと、ふわっと広がる香りホップと米麹という、お酒の原料にもなる素材を軸に、酵母の栄養源として、すりおろしたりんごやじゃがいもも加えて発酵させるホップ種。発酵が終わった種は、まさにビールのように爽やかな苦みと、ふわっと広がるお酒のような香りが持ち味だ。パンストックの自家製酵母のなかでは発酵力が強く、単独でパンを膨らませうる酵母ではあるが、発酵が進みすぎると苦みが強く出てきてしまう*1 ので、発酵完了のストライクゾーンは狭い。 *1  日本酒や酒種にも使用される米麹のアミラーゼ(でんぷん分解酵素)は他の原料に比べて分解活性が強いので、小麦粉やじゃがいものでんぷんは分解されやすく、酵母に利用されやすい傾向があります。また、でんぷんの分解と発酵が同時並行でおこるため、短時間で糖分が消費されやすくなり、発酵のコントロールが難しくなります。一方で発酵が進みすぎると糖分が減るため、甘みを感じにくくなり、苦みを感じやすくなります。(藤本)レーズン種フルーティな香りとほんのりした甘みが特徴の、汎用性が高い酵母種自家製酵母種として、もっとも一般的なレーズン種。パンストックでは、グリーンレーズンを使って種継ぎをする。レーズンを瓶に入れ、レーズンが完全に浸る量の湯を加え、全体の2%量にあたる元種を混ぜ合わせて一晩おくと、ぷくぷくと泡が出てくる。味見をして、ほんのり甘く、フルーティなワインのようにいい香りがしてきたら発酵完了。このまま生地に配合したり、ルヴァン・リキッド(→P.026)を仕込んだりするのに使っている。サワー種ライ麦粉で毎日かけ継ぐ、乳酸菌の素。発酵加減で酸味をまろやかに調整する知人から受け継いだサワー種を、そのまま大事にかけ継いで使っている。かけ継ぐ時は、ライ麦粉と水を同量混ぜ合わせたものを、元種と1対1で混ぜ合わせて常温に数時間おく。P.024の写真は発酵が完了したサワー種を横から見たところ。種の中に発生した炭酸ガスで小さな気泡ができている。味見をすると、しっかりとまろやかな酸味が感じられる。

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