パンストック 長時間発酵のパンづくり
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まずは生地の骨格をつくり、最後に水を足して吸水率をアップ036*1  ミキシングの際は、吸水の早いグルテンに最初に水が入り、その後でんぷんに水が入っていきます。後半に吸水を増やすことはとても合理的なやりかたです。(藤本) 吸水率が約100%の「パンストック」をはじめ、この本で紹介する多くの生地は、水をたくさん入れてつくる。これは、口溶けよくみずみずしい口あたりのパンにしたいから。水分を無理なく生地の中に含ませるために、水の一部はミキシングの後半に加えるようにしている。*1これを、店では「足し水」と呼んでいる。 最初は水分量をほどほどにしてミキシングをはじめ、しっかりとグルテンをつくってから水を足すと、思ったよりもたくさんの水分がなじむ。「吸水110%」と聞くとものすごく水が多い感じがするが、実際に生地を見ながら、目分量で「もう少し」「もう少し」と足していった結果、吸水率が上がったレシピもけっこうある。配合や工程を決める時、数字から受ける印象にとらわれず、目の前の生地をよく知って最適なバランスを見出すことは、とても大切だと思う。 最初に水分少なめにすると、グルテンの形成が早く、トータルでのミキシング時間を短縮できる。これも、日々の営業では大きなメリットだ。加水

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