041041 初夏には、さわやかなものが食べたくなります。5月になるといちごと入れかわるように国産のルバーブが出まわりはじめますが、おかしに酸味や青々しさやさわやかさを与えてくれて、ジャムにするのも大好きです。昔は日本ではあまり手に入らなくて、どんなものなんだろうとあこがれていました。アルザスの山の中の焼き菓子屋さんで食べた焼きっぱなしのルバーブのタルトがとってもおいしかったのが今でも印象的です。 この季節、ルバーブのほかによく使うのがベリー。お店ではブルーベリー、スグリ、ラズベリーなどをよく使います。酸味があって味のアクセントになるし、色がかわいくてブラウニーやトレイベイクが華やかになります。さわやかな味わいは、本当に初夏によく似合うと思います。 夏の果物のなかで好きなのは〝ストーンフルーツ〟です。これは、種の入ったかたい核が果肉の中心にある果物のことで、わたしは英語のおかしの本でこの言葉を知りました。よく使うのはプラム、アプリコット、ネクタリンといった酸味のしっかりとしたもの。おかしにさわやかさが加わって、焼くと果汁が生地にしみてしっとりします。「これはかたいよ」って八百屋さんが言うような品種は、皮の渋いところから味が出て、焼き菓子をおいしくしてくれます。生地にはナッツの粉を何かしら配合することが多いです。コクやかたさが加わり、生地がちょっと詰まった感じになって、焼いたときに出る果汁をしっかりと受け止めてくれます。 南国系の果物だと、パイナップルやパッションフルーツをよく使います。パイナップルは火を入れると香りがすごくよいところが好きです。なかでもココナッツの生地にパイナップルの果汁がしみていくのが好きで、このふたつをついついよく合わせてしまいます。
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