日本ワインの教科書
13/16

67長野山梨岩手山形新潟北海道主幹が斜めに植えられている北海道の畑。山形県山形県内陸部は古くから果樹栽培が盛んな土地だった。ワイン醸造も明治中期に始まり、その歴史は長い。現在ワイン用ブドウ栽培が行われているのは置おき賜たま地方、村山地方、庄内地方の3つで、東北最古のワイナリーを含め、個性豊かな古豪ワイナリーがカギを握る。マスカット・ベーリーAの生産量は山梨県に続いて多いが、その特徴が山梨のものと異なる点は興味深い。北海道北海道は寒冷な気候であるため、かつては耐寒性の強い交配品種の栽培が主流だった。だが近年は冷涼産地に適したヨーロッパ系品種であるピノ・ノワールやケルナー、ツヴァイゲルトなどの産地としても注目を集めている。気温の低い冬の間にブドウを凍害から守るため、ブドウを雪の下に埋めることが多く、その際にブドウの負担を軽減し、作業をしやすくするために主幹が斜めになっている畑が多い。雪にブドウを埋める産地は世界的にも珍しく、世界のワイン専門家が驚く特徴のひとつだ。岩手県岩手県はワイン産地としての歴史は決して古いとはいえないが、地元の山ブドウや、交配種であるリースリング・リオンなどを使った独自のワイン造りが光る。かつては冷涼すぎてブドウの成熟に苦労していたが、近年は温暖化の影響で栽培可能品種が広がり、小規模な生産者も増えている。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る