11食品衛生対策Ⅰ116アレルギー物質を含む食品の表示特定原材料(7品目)は表示が義務付けられているえび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)特定原材料に準ずるもの(21品目)は表示が推奨されているアーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンHACCP(ハサップ)①HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、危害分析(HA)重要管理点(CCP)と訳される。1960年代に米国の宇宙開発計画(アポロ計画)の中で、100%の安全性を保証する完璧な宇宙食を製造するために考え出された食品衛生管理システム。②従来の衛生管理とHACCPの比較従来の衛生管理:完成した最終製品について細菌検査、理化学検査などを行い、結果に問題がなければ出荷されるファイナルチェック方式がとられていた。この方式では、製品すべての安全性の保証が難しく、万が一問題が発生した際の原因究明も困難である。HACCP方式:「原材料の受入れ」から製造工程を経て「最終製品の提供」に至るまでに起こりうる危害を、あらかじめ分析(危害分析)してリスト化し、特に重点的に管理すべき工程(重要管理点)を監視し、その結果を記録として残すことで、事故を未然に防ごうとする考え方である。「いつ、どこで、誰が、何の目的で、どのような基準で(どの基準に従って)、どのような作業を行ったか」を記録し、証拠書類として残すプロセスチェック方式で実施する。③HACCPに沿った衛生管理の制度化「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成30年6月13日公布、令和2年6月1日施行)により「原則としてすべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理」の実施が求められるようになった。これまでHACCPは、主に食品製造業の自主的な衛生管理として整備が進められてきたが、1年間の猶予期間を終え、令和3年6月1日より、完全義務化された。HACCPの7原則12手順をそのまま実践することが困難な小規模事業所(従業員が概ね50人以下の施設)については、各種業界団体が作成した手引書を参考にしつつ、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(HACCPの手順・原則の運用を弾力化した適用)を導入することとしている。※HACCPに沿った衛生管理の制度化飲食店や販売店など小規模な営業者等もHACCPの考え方を導入することによって、衛生管理が「見える化」され、より効果的な衛生管理を行うことができると考えられる。衛生管理の「見える化」とは、これまでの手洗い、清掃、従業員の健康管理など一般衛生管理に関するとり組みと、提供するメニューや販売する製品に応じた管理方法を定めた衛生管理計画を作成し、実行、記録・確認することである。(食品衛生学)HACCPの考え方を取り入れた衛生管理 各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う。 【対象事業者】 ・小規模な営業者等 *加工助剤(加工時に使用しても製品に残らないもの)およびキャリーオーバー(原材料由来のもの)など、添加物の表示が免除されているものであっても、特定原材料については、表示する必要がある。特定原材料に準ずるものについても、可能な限り表示に努めること。すべての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)が衛生管理計画を作成 HACCPに基づく衛生管理 コーデックスの7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う。 【対象事業者】 ・大規模事業者等 *コーデックスCODEX:食品の国際規格④HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
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