そば学
15/16

為的に育成された4倍体ソバ品種には「みやざきおおつぶ」や「信州大おそば」、四倍体ダッタンソバ品種には「信濃くろつぶ」がある。ソバの遠縁野生種のFるが、その生理生態的な能力はまったく不明である。ポリフェノールはソバには多量に含まれていて、ヒトの循環器系に好影響を及ぼすことが注目され、現在はその食品機能性が知られている。また、ポリフェノールの中でもフラボン骨格を持った有機物質のグループであるフラボノイドは、熱帯の恐ろしい寄生虫のマラリアに対して、インビトロ試験で抑制効果があるというオーストラリアの研究結果があり、とくにケルセチンの効果が高いとされている。ソバには多種多様なフラボノイドが含まれているため、ソバ属の中にも特殊な医薬資源が眠っている可能性がある。そこで著者らは帯広畜産大学原虫病センターの協力のもとで、普通ソバ、ダッタンソバ、宿根ソバなどが熱帯熱マラリア原虫の活性に及ぼす影響を調査した。ダッタンソバは水を加えるとルチン分解酵素が働き、すぐにケルセチンに変化する。ダッタンソバの原虫活性に対する抑制効果は高かったが、それはケルセチンによるものであることがわかった。さらに、宿根ソバは普通ソバの種子とは違う特殊な増殖抑制効果があるとい. urophyllumは低木なので低温に耐える力もかなり強いと想像されお第2章 ソバの神秘的な力83

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る