tataricumG.)がある。ダッタンソバは別名ニしゅっされている。この種は中国やヒマラヤ山系や東南アジアの国々の畑、道の横などに自生している。野生種だが、葉が食用、薬用として利用されている。以上の3種の植物体は180頁の資●ソバは一年生の双子葉植物でタデ科属(以下、[ 稲や麦などの穀物のほとんどはイネ科に属するが、ソバだけがタデ科の植物である。種子[果実]は三角形で、その中には次世代の個体となる子葉がS字状に折りたたまれており、子葉の周りにはでんぷん質が詰まっている(資料❶)。種子の外側はソバ殻[果皮]で、その内側には甘皮[種皮]が分布している。イネ科の作物のように胚芽の部分だけを取り除くことは困難だが、それが幸いしてそば粉の独特の風味がつくられている。風料❸~❺を参照。]内は植物学や作物学の用語)知識篇ん お 信州大学名誉教授ソバの植物学的分類⑴ ソバの植物学的分類と特徴第14章ソバの植物学的特徴井上直人ソバの種類・品種と栽培esculentumM.)とダッタンソバ(Fagopyrumソバの栽培種には、ソバ(学名/Fagopyrumガソバと呼ばれている。両種とも一年生で、ソバの花の色は白やまれに赤だが、ダッタンソバは淡緑色から黄緑色でソバより小さい。両種ともに体細胞染色体数は16本(2n=16)だが、人為的に染色体を倍加した32本(4n=32)の四倍体品種もある。「みやざきおおつぶ」、「信州大おそば」などだが、栽培はまれである。ソバの起源地は中国四川省と雲南省の境、雲が多く冷涼で河川がある三江地域である。この中国南西部には20種類以上の野生種があるが、その一つに宿根こソバ(F. cymosumM.)がある。別名をシャクチリソバといい、明治の初めに薬草として中国・雲南から日本にも導入されたとC.胚乳のでんぷん粒(×900)小さい丸い粒がでんぷん粒A.果実(玄ソバ)の断面(×30)風味の元となる子葉が折りたたまれている電子顕微鏡写真の提供/元松本歯科大学 赤羽章司(2004)果皮(主に繊維)(普通は「ソバ殻」と呼ぶ)空洞B.胚と胚乳(×75)中央の空洞があるほうが風味がよい胚乳(主にでんぷん)種皮(主にたんぱく質と脂質)(普通は「甘皮」と呼ぶ)子葉(主にたんぱく質と脂質)178資料❶ ソバ粒の構造と化学成分
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