そばうどん2021
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「無製粉冷水浸し漬せ湿し式し胴ど搗つき製法」。農学博士である井上直人氏が提唱するそばの製造加工法だ。字面を見るといかにも難解そうで腰が引けるが、簡単にいうと、杵きでコメをついて餅をつくるようにして、水に浸けておいたソバの丸抜きをついてそば玉をつくる手法という。つまり製粉しない。実際に見るべく、長野県伊那市の研究室を訪ねた。迎えてくれたのは井上氏のほか、「信州そばアカデミー」の原秀夫氏、2021年4月に同市高た遠と町でそば店「きし野」を開業する岸野靖典氏。さっそく先の製法による「胴つきそば」を打ってもらう。まず、たっぷりの水に浸かっていた丸抜き(浸漬前の重量300g)をザルにとって水気をきり、原氏がミンチ機にかける。「この丸抜きは浸漬4日目。えぐみがとれて爽やかな味になるし緑色が鮮やかになるから、水は途中で一度だけ換えています。ミンチ機は使わなくてもいいんだけど、今日は時 おか ねきんつきう井上氏の隣が茅野市の㈲MCSと共同開発した「千本杵搗き機」(2012年特許登録)。左上の写真は今回の実演で使った小型版。「業務用は直径8㎝の杵代わりの棒が4本で、加重は約90㎏。練り上げるまでのいちばん重労働な部分は機械化して人間の負担を軽減して、その後の延し、切り、ゆでで職人さんの創造性を発揮すればいいと思うんです」(井上氏)。13年のスロベニアでの国際ソバシンポジウムで発表し、現地の製粉研究誌に大きく取り上げられた。023
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