おやじさんの性格と丁寧な技に魅せられて、常連が集うお好みの町の繁盛店
言わずと知れたお好み焼の町、広島。聞けば、市内の店数は800軒にのぼるといいます。
この激戦地区で、長年繁盛を極めているのが、中区薬研堀に店を構える「八昌」。店主の小川弘喜さんはこういいます。
「おいしいものを、適正な値段で、店はこぎれいに、この3つが鉄則じゃけー。儲けるためには、まずおいしいものを出さにゃあかん」。
同店のお好み焼は、非常にボリュームがあり、数々の技がこめられています。とくに大きな違いは、焼き時間が長いこと。その時間約15分間。これは、契約農家(阻島根)から仕入れる厳選したキャベツの旨みと甘みを自然な蒸らしで引き出すため。だから他店の約2倍なのです。
写真は肉、卵、そば入りお好み焼き 750円。
直径約28cmとビッグサイズ。一番下から、薄い生地、キャベツ、細モヤシ、豚バラ肉の薄切り、そば、卵、最後にソース、青海苔をかけてでき上がり。
これら一つひとつの材料に、独自の技がこめられているのです。最後にじっくり蒸し焼きにすることで、それぞれの力が凝縮し、旨さが醸しだされるのです。
家庭のあたたかさに満ちた、飾ることのない接客が光る
もうひとつの秘密は、カウンター業の鉄則、雰囲気づくりのうまさ。それには、名物親父として親しまれている小川さんの人柄によるところが大きいでしょう。
お客が誰かにかかわらず、つかず離れずのフラットな応対。そして、酔客は入れないなど、言うときははっきりと言う。
また、それをフォローする奥さんの智子さん、修行中の従業員とのやりとりも、見ていて気持ちがいい!観光地という難しい条件の中でも、これだけの支持を得ています。いわゆる中小規模の生業店の原点ともいえる、醍醐味と底力を知ることができるはず。
ねぎ焼 750円。
長ネギ(冬季は赤ネギ)を小口切りにします。仕上げにガーリックオイルで風味をつけて焼き上げるのが特徴です。焼きあがりまではお好み焼きと同じく約15分。
[店名]八昌
[住所]広島県広島市中区薬研堀10-6
[TEL]082-248-1776