[ピーマンのコンフィチュール]
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最近、話題のコンフィチュール。フランス語で砂糖煮、ジャムのことですが、従来とはちょっと違うタイプが続々と登場。パンに塗るだけじゃない、料理やデザートに添えてもいいですし、そのまま食べても素材感たっぷりでおいしいんです! たとえば、銀座の「コンフィチュール エ プロヴァンス」にはこんなコンフィチュールが。
◎ポワール、ピモン(緑)、ナツメグ
これは洋梨、緑ピーマン、ナツメグのコンフィチュール。さっぱりと、でも甘いような、ほろ苦いような。担当はレバーペーストと食べましたが、相性がいいんです、意外に! 豚肉にもとっても合います。
◎アプリコ、ポティロン
アンズとカボチャがベース。オレンジ、バニラ、レーズンなどを隠し味にしているそう。カボチャのジャムとは!それもいくつかバリエーションがあるんですね。
素材も風味も新鮮な驚き!のコンフィチュールが並ぶ銀座店では、約100種類のコンフィチュールを季節ごとに販売するそう。お店にうかがうと色とりどりのコンフィチュールにクラクラ。。。思わず買い占めてしまいそうになっちゃいます。
このクラクラの理由は、ディスプレイの照明を透かした時、コンフィチュールが化粧品やジュエリーのようにキラキラして見えるからなのかも!(物欲が刺激される〜〜)。そんな素朴な疑問をデザイナーの小坂竜さんに聞いてみました。(注:小坂さんと同店は無関係です)
「そう、アパレルや化粧品の店では、商品が美しく見える照明、商品が美しく見えるデザインが何よりも大事。クライアントさんからは、商品の背景には白を指定されることが多いのも、商品の色をきれいに見せるためなんだよね」(小坂竜さん談)
食品関連でもスイーツのショップでは宝飾やアパレルの売り方を取り入れてデザインすることが多く、「いかに商品が美しく見えるか」を最優先課題とするそう。そうは言いながらも食品ですから、あんまり鋭角的な冷たい感じでは売れません。プロヴァンスの暖かい空気感を残しながら、ディスプレイには化粧品の売り方を採用した同店のバランスはなるほど、なかなか絶妙でした。
というわけで、今回のメルマガは
〜「コンフィチュール大特集♪」〜
です。
[コンフィチュール特集]
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鎌倉にはコンフィチュール専門店として大人気の「Romi-Unie Confiture ロミ・ユニ コンフィチュール」があります。
「cafe-sweets」では「Romi-Unie Confiture」のいがらしろみさんが「コンフィチュール日記」を連載してくださっていたのですが、vol.49からはより技術講座の色彩を強めて「コンフィチュールのアイデア帖」にリニューアルしました。
vol.49ではイチゴ、vol.50ではグレープフルーツが題材。同じ素材をベースとしながら、組み合わせる副素材や仕上がりイメージによって、イチゴのカット方法も変えるんですね! コンフィチュールのプロならではの方法論に釘付けです!
→関連リンク
【Romi-Unie Confiture】
cafe-sweetsの連載「コンフィチュールのアイデア帖」でもおなじみ!Romi-Unie Confiture ロミ・ユニ コンフィチュール(いがらしろみさん)のオフィシャルサイト。WEB通販あります。
◆コンフィチュールをつくろう!
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コンフィチュールは果物を砂糖で煮るだけでしょ?なんて、思っていませんか?
果物の選び方、カットの方法はもちろん、煮かた、素材の組み合わせ、糖度など、気をつけなければならないポイントがたくさん! 基本技術を身につけて、楽しいコンフィチュールづくりを始めませんか?
柴田書店の書籍から、コンフィチュールのレシピが学べるものをピックアップしてみました。
【果物を愉しむ100の方法】(*品切になりました)
福田里香さんの果物のお菓子、リキュール、保存食をテーマにした本です。果物のいろいろな表情がかわいい。
「煮詰めた果物の砂糖煮を総称して普段何げなく「jam」と呼ぶけれど、欧米では状態によって細かく呼び方を変えている。(中略)この情熱はたとえば日本人が魚に対して持っているそれと同質のような気がして、おもしろい」−福田里香
→この本のコンフィチュールのレシピ:いちごと赤ワインのプレザーブ、プラムのアーモンドムース、アップルバター&アップルゼリーなど。
コンフィチュールにはほとんどの場合、果物を使いますが、素材としての果物の選び方、扱い方に重点を置いたのが、こちらの本。フルーツの名前(日本語/フランス語/英語)から歴史・産地、分類・形状、味の特徴、旬と選び方、保存方法、生かし方のポイントが、詳細なレシピページの前にまとめてあります。コンフィチュールのレシピは1種類の紹介ですが、糖度や鍋のことなどにも丁寧にふれています。
→この本のコンフィチュールのレシピ:フランボワーズのコンフィチュール
お菓子の副素材にも使うコンフィチュールは、ケーキの技術として欠かせないものです。この本はお菓子づくりの基礎教本だけあって、コンフィチュールの項目でもプロセス写真つきで詳解しています。ビンに入れて保存する際の注意点(ビンをひっくり返して冷ますことで、ビン中の空気も80℃以上に熱せられて殺菌される)など、最後の仕上げまでしっかり写真入り。わかりやすさがおすすめです。
→この本のコンフィチュールのレシピ:フランボワーズ・ペパン、オレンジマーマレード
コンフィチュールをつくる時、砂糖の分量、つまり糖度の設定で、仕上がりが変わってきます。では、糖度はどれぐらいがベストなのでしょうか? オーボンヴュータンの河田さんが「コンフィとコンフィチュールの糖度の意味」について、こう書いています。
「コンフィチュール、つまりジャムとは何か。それはフルーツのエキスを最大限に凝縮させたものといっていい。フルーツ10に対して5の砂糖を使い、煮つめる。糖度が67〜70brixの時、フルーツの香りが一番引き立つと考えている」‐河田勝彦
→この本のコンフィチュールのレシピ:コンフィズリー(糖菓)のみ。
「人に快楽を与える4つの味のうち、甘みは人がこの世に生れ落ちた瞬間から、いやおうなしに惹きつけられるただひとつの味覚である。甘みは舌の先端部で感知され、塩味がその次にきて、それから酸み、そして苦みの順になる。後者3つの基本味を好きになるにはある程度の修練が必要だが、甘みだけは幼児期からの味覚であり、おとなになってからも一生、慰めとなってくれる。」
−ピエール・エルメ(訳:福永淑子)
エルメ氏のこの偉大な著作には、菓子のレシピをただ求めるという用途には余りあるほどの、深い哲学が込められています。エルメ氏のコンフィチュールは、青山の新店でも入手できます。彼が信頼をおいているアルザスのクリスティーヌ・フェルベール氏と共同制作。バラとライチを組み合わせた「イスパハン」、バイオレットとカシスの「アンヴィ」など、エルメ氏の人気ケーキをコンフィチュールにしたもの。1瓶2000円と高価だけど、一度試してみる価値があります。
→この本のコンフィチュールのレシピ:種子入りフランボワーズジャム(FRANBOISE-PEPINS)
→関連ニュース:【ピエール・エルメの新店は"ぜいたくなコンビニ"? ピエール・エルメ・パリ青山店】‐cafe-sweets vol.50に掲載
砂糖を大量に加えた「ジャム」や「砂糖漬け」が腐りにくいのはなぜでしょう。
砂糖で煮る、というのも、じつは科学変化なのです。コンフィチュールを作る時、果物の種類によっては、固まり方が違うのも「酸」「ペクチン」のバランスの違いによるものです。さて、この質問の答えは本書の64ページに書いてあります。
【ラルース・フランス料理小事典】
confiture de tomates vertes
(コンフィテュール・ドゥ・トマト・ヴェルト)
緑のトマトのジャム。
緑のトマトを洗ってふき、うす切りにする。トマト3kgにつき2.15kgのグラニュー糖に・・・
1976年に刊行された本です。コンフィチュールという語がたぶん一般的ではなかった頃。「ラ・ルース料理小事典」には「緑のトマトのジャム」の作り方がちゃんと載っていました。ポケット事典ですから、文字だけです。でも、コンフィチュールのレシピは26品分も載っています。
→この本のコンフィチュールのレシピ:コンフィテュール・ドゥ・トマト・ヴェルト、コンフィチュール・ダナナ(バナナ)、コンフィチュール・ドゥ・グロゼイユ・ア・マクロー(丸スグリ)など。