日本料理の椀もの特集です!
日本料理をいただく時の楽しみのひとつは、
料理の中に季節を感じられることでしょうか。
その中でも椀ものは、懐石料理、会席料理、
和食の食卓にはかかせないものです。
お椀の味を見れば、その店のすべてがわかるとも
いわれるぐらい大切なもの。
お椀からたちあがる香りや、盛りつけの美しさなど
それぞれのお店の味を楽しんでみたいですね。
◆「椀盛入門 ― 椀盛の十二ヶ月とその技法 ―」
著者:後藤紘一良 価格:2940円(税込)
煮もの椀とも呼ばれ、茶懐石料理においてはメインの料理の椀盛。
基本的な料理と技法を学べる一冊です。
本書では、月ごとに3品前後の基本的な椀盛の料理を、
具の準備から、つくり方、椀づま、盛付けまで
カラーのプロセス写真とともに詳細に掲載しています。
たとえば、5月の椀として紹介されている「山桜真蒸」。
山一面に咲いた桜の花をイメージしたもので、
色づけした緑色のしんじょう地を山形にし、
桜を表わす巻き海老、最後に雲を表わすしんじょう地を重ねた一品。
重ねる地が混じり合ったり、型崩れしないように、
それぞれの地を流し混むごとに蒸しながら仕上げるのが
ポイントです。
日本料理に関するお問い合わせでも数が多いのが、
「スッポン」の調理法について。
本書にもスッポンをおろす工程が詳しく掲載しています。
椀「すっぽん仕立て」は本書では温製。応用として
夏期は冷製にし、ゼラチン質で固めて提供するのもおすすめだとか。
だし、吸い口、代表的なお椀(器)の特徴など椀物の知識も掲載。
通常は昆布とカツオで作るだしですが、精進だしも紹介しています。
◆「懐石料理 基礎と応用」
著者:高橋英一/柴田日本料理研鑽会 価格:8400円(税込)
500の料理事例と基本的な約束事をわかりやすく、
基礎から応用まで、懐石のすべてがつまった一冊です。
本書は、懐石の心得や基礎技法などの「懐石各論」
正式な懐石と軽い点心を合わせた「四季の懐石と点心の献立」
季節感あぶれる主菓子と干し菓子「四季のお菓子」
の3項目で構成しています。
「汁もの」と「煮もの椀」の項では各月3品ずつ、
計72品の椀ものをご紹介。
懐石の基本形式「一汁三菜」の「汁」は、基本的には
味噌仕立てで、冬場は白味噌仕立、夏場は赤味噌仕立、
その間は適宜に合わせ味噌にするのが一般的。
くどい素材や味つけは避けて、汁も具も、2〜3口で
食べきれる量にするのが原則です。
料理店にはもちろん、懐石を深く知りたいと思っている
方にもおすすめです。
◆「大根料理 先附からデザートまで」
著者:遠藤十士夫 価格:3990円(税込)
大根の中でも年間通して入手しやすく、
価格的にも使いやすい青首大根を使った
斬新で魅力的な料理集です。
著者が300種類以上の大根料理を考案、実際にお客さまに出して
喜ばれたものばかり。その中から111品の料理をご紹介しています。
本書に掲載されている「椀もの」は14品。
たとえば「寒牡丹」は、朱色のお椀の中心に大輪の白い牡丹が
咲いたような美しい一品です。
大根でつくる「しんじょ地」は、すり身で作るものとは違い
魚臭くなく精進料理にもおすすめだそうです。
その他、大根と季節の野菜を使った「あしらいもの」も
41品ご紹介しています。
◆「だしのいらない日本料理」
著者:野崎洋光 価格:1680円(税込)
かつおだしを使わずに、素材、醤油や味噌などの
調味料の旨みを生かし、82品の料理を紹介した一冊。
本書は、汁、煮物・蒸し物、ご飯・麺、酢の物・和え物の
4項目で料理を掲載しています。
旨みを加える最低限の素材として昆布を多く使用。
昆布は、肉・魚・野菜などからでる旨みを調和させる
すぐれた旨みをもっているそうです。
紹介している汁もの・椀ものは、
具たくさんで味に深みを出すもの4品、
すりつぶして味を出すもの13品、
すまし仕立てのもの2品の計19品です。
たとえば「春香椀」は、グリンピースをすりつぶして
つくる緑色鮮やかな一品です。
包丁でこまかく叩いたエビをそぼろ状にして合わせ、
ごま油とねぎの風味を加えたもの。ちょっと中華にも
ありそうですね。
だしやスープをいっさい使ってはいないのですが、
豆の味も楽しめ、非常においしい旨みがあるそうです。
素材のもつ味を、ひとつひとつ感じ、
楽しんでみてはいかがでしょうか。