最近、“真空調理法”という言葉をよく耳にすることが多く
なってきました。病院食や福祉施設などでも注目されつつある
真空調理法とは、いったいどんなものでしょうか。
真空調理法は、忙しい時間以外に真空調理でパーツを仕込み
保存しておけば、最終仕上げ調理するだけで、繁忙時に
余裕のある料理提供ができるので、一度の大量調理も可能な
とても便利な調理法です。
調理方法には、「煮る」「蒸す」「焼く」「揚げる」などに
分けて考えられますが、真空調理法も、その調理方法のひとつなのです。
基本調理工程としては、下処理をした食材を調味料と一緒に
専用フィルム袋に入れ真空密封し、一定温度の湯またはスチームで
加熱し、急速冷却して保存します。
必要なときに開封して使うか、再加熱をして使います。
コスト面でも、食材の計画的利用ができ、作業を簡素化することで
人件費削減も可能です。
今後、病院、福祉施設、学校給食などの分野から、ホテル、
レストランまで、ますます需要がふえていきそうです。
最近では、家庭でも手軽に調理を行うことができる
「パッククッキング」(家庭版真空調理)という調理法が
あります。炊飯器や湯沸しポット、ポリ袋、ストローなど
身近な道具を使い、簡単・安全に調理することができるので、
とても便利ですね。
◆「真空調理ってなに?」
著者:谷孝之/金谷節子/長田銑司/川平秀一
価格:1260円(税込)
実際に真空調理を取り入れて、大きな成果をあげている
著者たちがわかりやすく解説した一冊。
本書では、
◎真空調理とはなにか
◎なぜ必要なのか
◎どのようにしたらうまくいくのか
の3つの視点から真空調理について、各項目15〜20の
Q&A方式でやさしく解説しています。
例えば、「短時間で何人前ぐらいの料理ができるのか」
という項目では、経験と料理の内容と目的によって大きく違うが、
スタッフは週休二日で勤務時間8時間が基本シフトで
[レストラン70席、宴席100席併設]ほどのホテルだと、
厨房スタッフが5人いれば、1日600食ほどの提供が可能だそうです。
これほどまでの大量調理が少人数、短時間で可能になるのは
すごいですよね。
ほかにも、真空調理の基本資料として、「基本プロセスと
使用器機・設備」「各工程における注意点」などの図表、
真空調理に必要な機器類も写真と説明つきで掲載しています。
経営者の方、現場のリーダーはもちろん、現場スタッフ、
栄養士の方々にもおすすめです。
◆「真空調理で日本料理」
著者:長田銑司 /長田勇久 価格:3990円(税込)
煮もの、焼ものの多い日本料理にこそいかしたい
真空調理の、テクニックから、料理メニューまでを掲載。
本書の前半では、春・秋の弁当、夏・冬の会席料理から
前菜、焼きもの・揚げもの、煮もの、ごはん、デザート
にいたるまでのメニューをたっぷりと100品あまりご紹介
しています。
調理の工程写真を多くつかい、レシピには、注意点や
ポイントなどをメモとして掲載。
例えば、鍋で煮込むことで味がしみこむ煮ものなども
真空調理を使えば、素材の味や香りをのがさず、
素材の固さや味も自在にコントロールできます。
調味料の組み合わせを変えるだけで、バリエーションも
広がります。
日本料理と真空調理法の相性はとてもいいんでね。
後半部分では、調理上の温度管理から、基本工程、衛生、
経営管理、機器などの知識部分も図表をまじえながら
詳しく説明しています。
真空調理との出会いから、実際に真空調理を導入しお店を
営業している著者ならでの体験など、これから真空調理を
とお考えの方々にはご参考になる一冊です。
◆「給食ビジネス」
価格:2940円(税込)
これからの食マーケットの重要テーマを網羅!
本書では、事業所、学校給食、宅配ビジネス、養護介護
ビジネス、病院福祉関係者にとって、いま知っておくべき
テーマを掲載しています。
そして本書でも、真空調理について、
◎開発、研究した頃
◎和食現場で活躍
◎医療現場に浸透
◎真空調理・概略史
の、調理現場でのシステムの活用法などを掲載しています。
例えば、医療現場では、
朝・昼・夕といった食事区分に関係なく、工程別に
調理保存できる真空調理法の活用によって、スタッフの
増員を図ることなくシステムを構築できたり、
特別調理師がつかっている技術を数値化し、レシピに
整理することで、全体に共有できたりと、
真空調理は病院給食には最適な調理法であるようです。
ほか、一流シェフが取り組む「食育」、居酒屋ワタミが
はじめる「介護ビジネス」など、次の食マーケットの
さまざまな取り組みをご紹介しています。