今ではハウス栽培などにより、一年中食べることができる
アスパラガス。
露地ものの収穫期は4月から7月頃、5〜6月が最盛期です。
アスパラガスは、ニンニクなどと同じユリ科、
地中海東部地域を原産とする多年生の植物です。
和名ではマツバウド、セキチョウハク、オランダキジカクシと
呼ばれています。
日本には、オランダから観賞用が伝わり、食用種が導入されたのは、
明治になってからです。
種類は300を越すほど多く、その中でも食用になるのは20種類。
主として“グリーンアスパラガス”“ホワイトアスパラガス”
“紫アスパラガス”の3つに分類されます。
グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスは、
栽培方法が違うだけで、品種は同じものです。
食用の茎が地上に出るときに、日が当らないよう土をかぶせて育てた
ものがホワイトに、日を当てて育てたものはグリーンになります。
ホワイトアスパラガスは、クリーミーな歯ざわりと
ほろ苦い独特の風味が魅力で、生のものも、いろいろな料理
にもつかわれています。
フランス料理では、旬の味覚。高級品です。
最近は国産品も出回っています。
そして、紫のアスパラガスは、果実香があり、甘みも強く、
やわらかくて、生でも食べることができます。
ゆでると緑色になってしまうので、少し紫色を残すには、
蒸し器などで蒸すといいそうです。
ビタミン類も豊富で、疲労回復、滋養強壮などに優れているので、
気温の変化が激しく、体調を崩しやすい今の季節には
おすすめの食材ですね。
◆「フランス料理13章」
著者:ドミニク・コルビ 価格:5250円(税込)
フランス料理の調理の基本を解説しながら、
野菜、魚介、肉類、フルーツ、チョコレートなど
フランス料理における重要な13の素材テーマ別に
掲載した一冊。
料理写真は大きく、すべてのレシピにはフランス語の
対訳を併記しています。
本書では、フランス式アスパラガスのゆで方と
5品のホワイトアスパラガスをつかった料理を
ご紹介しています。
たとえば
”アスパラガスと軽くスモークしたグリンピースのスープ、
豚ばら肉と川鱒”。
黄緑色のスープの中央にスパイスとブイヨンで煮た
塩漬け豚ばら肉、川鱒のフィレを重ね、塩ゆでした
アスパラガスの穂先を3本を並べて盛りつけた一皿。
豚の脂身の旨みはアスパラガスの苦みを魅力的に
引き立て、川鱒の香りはスモーキー感を強調し、
複雑なホワイトアスパラガスの味が楽しめます。
巻末には、コルビ氏お気に入りの23種類のスパイス
(写真とコルビ氏のスパイスのつかいかたなど)、
フォンとソースのほかヴァニラアイスクリームなども含めた
“基本のフォンとソース”のレシピ39種も掲載しています。
著者:パンツェッタ貴久子 価格:1890円(税込)
著者が主宰する料理教室のメニューから“野菜料理”を
まとめて掲載した一冊。
本書ではアルパラスをつかった料理3品を掲載。
◎アスパラガスのミラノ風
◎アスパラガスのビスマルク風
◎刺激ソースのアスパラガス
“アスパラガスのビスマルク風”は、
ゆでたアスパラスに、ワインビネガー、オリーブオイル、レモン汁など
を混ぜたゆで卵のソースをかけた一品。
アスパラガスとゆで卵の相性は抜群で、根元をつぶしてソースに混ぜ、
歯応えの残る穂先にからめて食べます。
イタリアには、なんとアスパラガスをゆでる専用の鍋があります。
細い筒形の鍋と、ゆでたアスパラガスをそのまま引上げられるように
カゴがセットになっているもので、根元はお湯に浸かってやわらかく、
穂先は蒸気で蒸されコリコリの食感に仕上がります。
日本では手に入りにくいようですが、深い鍋に
小さめの筒形のザルを入れてゆでると同じ食感が
味わえます。
著者:柴田書店 価格:3990円(税込)
日本料理の基本、伝統技術を踏まえながら、
新しい和食の世界を繰り広げる20店の若手料理人の
料理をコース料理の流れで掲載した一冊。
それぞれの料理人の技の工夫、盛り付けなど、
メニュー構成にもにおすすめです
本書でもアスパラガスをつかった料理をご紹介しています。
◎“アスパラガスの素揚げ 玉子ソース イクラ添え”
玉子ソースの上に、素揚げしたグリーンアスパラガス(6本)
を半分の切りクロスに重ね、さらにイクラがたっぷりと盛付けた一品。
鮮やかな彩りで、玉子、アスパラガス、イクラの3種の
混ざり合った味がとても気になる一品です。
また“アスパラソバージュのお浸し”という料理があります。
アスパラソバージュは、アスパラガスの仲間ではなく、
じつはまったく別の植物
よく野生種のアスパラガスとかアスパラガスの若芽などと
いわれていますが、この“アスパラガス ソバージュ”は、学名を
ornithogalum pyrenaicum(オーニソガラム・ピレナイクム)といい、
オーニソガラム属に属します(アスパラガスはアスパラガス属)。
野に自生する植物で、フランスやイギリスなどのヨーロッパ
いくつかの国でみることができ、日本には主にフランスで
山どりされたものが輸入されています。
姿はアスパラガスにも似ていますが、ツクシの穂に近いもの。
サクサクとした歯ざわりとゆでるとぬめりがあります。
5月中旬から6月中旬と短い期間だけ出回る野菜なので、
とても貴重です。ぜひ味わってみたいですね。