フランスの代表的で人気のパンの一つ“クロワッサン”。
サクサクの層になった生地とバターの風味が特徴ですね。
生地にバターを折り込み、焼いたときに生地の間に油の膜が
できることでクロワッサンの層はできあがります。
発酵時間が短いとパイ生地に近い感じになり、長いとクラム
(パンを焼いた時の中側の柔らかい部分のこと)が柔らかく
仕上がり、二通りの食感を楽しめます。
クロワッサンの原形がつくられたのは、フランスではなく、
1683年に、ウィーンがオスマン帝国の包囲戦に勝利した時、
戦功のあったパン屋に、勝利を忘れないためにオスマン軍の
旗印の三日月のパンをつくる特典が与えられたのが始まりと
されています。
その後、マリーアントワネットによってフランスへ持ち込まれたと
いわれています。
当時のクロワッサンは、三日月の形はしていたけれど、
味や製法はことなり、Kipfel=キップフェルというハード系の
パンだったようです。
現在のバターを折り込んでつくられたクロワッサンが一般に普及
したのは、1920年頃になってからなんですね。
そのままでももちろん美味しいクロワッサン。
小さめに焼き、ハム、チーズなどをはさんでアミューズにしたり、
サンドイッチなどもおすすめですよ。
◆「プロのためのわかりやすい製パン技術」
著者:エコール 辻 大阪 江崎修 価格:4935円(税込)
専門学校の製パンクラスで教科書としてつかわれている
ハード系食事パンからサワー種のパン、型焼きのパンなど
78種類のパンのプロの知識と技術を学べる一冊です。
今回ご紹介している“クロワッサン”の配合は、数も多く、
製法もいろいろ選べます。
製法としては、ストレート法、オーバーナイトでストレート法、
ポーリッシュ法、発酵種法などがあります。
本書では、配合された材料を一度にミキシングしてから
発酵させる“ストレート製法”を掲載しています。
発酵時間が比較的短く、工程がわかりやすいのが特徴です。
工程は、作業と時間、温度、分量を表であらわし、準備から
焼成まで、それぞれの作業にかかる時間をわけて掲載。
作業の流れをひと目みることができるので、とても便利です。
ほか、材料や道具、製法などの基本的な解説もあり、
これからパンつくりを学びたい方などには、おすすめです。
◆「おいしいパンが食べたくて」
著者:HeartBakery21Club 価格:2520円(税込)
パンづくりのプロたちによる、特別な器具をつかわずに
家庭のオーブンでおいしくつくれるパン48品を厳選し、
掲載した一冊。
本書は、オールカラー写真と詳細な解説つきでとても
わかりやすく、ひとつひとつアドバイスもついています。
本書でご紹介しているクロワッサンは、
大阪・豊中市にあるパン店“エクス・アン・アルル”の
シェフがつくる“カルピスクロワッサン”。
強力粉とフランスパン用粉、生イーストをつかい、
生地にカルピスを練りこんだ“オリジナルなクロワッサンです。
強力粉とフランスパン用粉を混ぜ合わせることで、
皮はパリパリ、中身はかみごたえのあるクロワッサンに
仕上がり、バターとカルピスの甘酸っぱい香りが溶け合い
リッチな味が楽しめる一品です。
練り込むカルピスには、イチゴ、オレンジ、巨峰など、
味にも種類があるので、味の違いを試してみることもでき
そうですね。
◆「フィリップ・ビゴのパン」
著者:フィリップ・ビゴ 価格3570円(税込)
「パンの神様」ビゴ氏が考える、パンづくりの奥義を
紹介したパンの技術書です。
ベーシックなパン48品、お菓子っぽいパンや伝統菓子40品、
パンをつかったメニューやパンに合う料理40品を掲載。
作業のプロセスは、粉や生地の状態をよくわかるように、
ミキサーではなく、すべて手ごねでご紹介しています。
本書では、ビゴ氏がつくるクロワッサンは、
◎イースト生地をつかったもの
◎ルヴァン種(天然酵母)をつかったもの
の2種類を掲載。
どちらも、風味や香りはあるけれど、ルヴァン種をつかった
クロワッサンは、発酵にじっくり時間をかけるので、パンの
風味や香りが格段によくなり、焼きあがったパンは水分保持
にすぐれ、日持ちがよくなるそうです。
ほか、クレームダマンド(アーモンドクリーム)を巻き込み、
アプリコットジャムとアーモンドスライスで仕上げる
“クロワッサン・オ・ザモンド”やチョコレートを巻き込んで
つくる“パン・オ・ショコラ”など、クロワッサン生地の
バリエーションも掲載しています。
おいしいパンをつくるためのパンづくりの基本とビゴ氏の
パンづくりに対する思いを感じられる一冊です。