ローマ地方では、「木曜はニョッキ」という言葉が
あるくらい家庭料理としてポピュラーな“ニョッキ”。
プニプニした食感と口どけのよさが特徴の日本でも人気の
ある生パスタのひとつです。
もともとセモリナ粉(乾燥パスタの原料としてつかう)や
小麦粉に水を加えて練ったもの(イタリア南部)、パンに
小麦粉と牛乳、少量の肉とホウレン草を加えて練ったもの
(イタリア北部)の二つのニョッキが原形といわれています。
19世紀にイタリアにジャガイモの栽培が伝わり、人口増加や
農作物の大規模な不作などで小麦が不足したときに小麦粉に
ジャガイモを加えてニョッキがつくられるようになったそうです。
現在では、このジャガイモに小麦粉を加えたものが一般的な
“ニョッキ”の主流になっています。
ジャガイモのやさしい味の生地の“ニョッキ”は、生地に
ホウレン草やパセリ、ニンジン、ハムなど、好みの材料を
加えれば、味や香りにバリエーションも広がります。
どんなソースにも合わせやすく、生地とソースの新しい
組合せを楽しむこともできますね。
◆「プロのための わかりやすいイタリア料理」
著者:辻調理師専門学校 永作達宗
価格:6825円(税込)
イタリア料理の基本を学べる技術・技法書です。
出し汁やソースから、前菜、スープ、パスタ、魚介、肉、
野菜、ドルチェまで網羅。
イタリアの風土、歴史もふくめ、下準備、つくり方も詳細に
掲載、豊富なプロセス写真をつかい、とってもわかりやすいです。
本書では、3種類のニョッキをご紹介しています。
◎じゃがいものニョッキ、ミート・ソース
◎二色のニョッキ、セージ・ソース
◎ハム入りローマ風ニョッキ
たとえば、“ハム入りローマ風ニョッキ”。
ジャガイモではなく、セモリナ粉でつくるので“セモリナ粉の
ニョッキ”とも呼ばれています。
粉を牛乳、バターなどの液体に加えて煮て練り上げたものを
丸い抜き型で、円柱形(高さ2cmほど)に抜き、オーブンで
焼いた一品。うっすらついた焦げめが美味しそう。
一般的なニョッキとは、形もつくり方もことなる、ローマの
伝統的な料理です。
ほか、巻末には、イタリアの食材、調理器具も掲載、素材から
ひける索引もついているのも便利です。
◆「カノビアーノのイタリア料理」
著者:植竹隆政 価格:2940円(税込)
植竹シェフの店「カノビアーノ」の料理を、豊富なプロセス
写真と詳細なつくり方とともに95品を掲載しています。
本書でも、3品のニョッキをご紹介。
◎赤ジャイモのニョッキ フォンティーナチーズのソース
◎ルッコラのニョッキ
フルーツトマトと水牛のモッツァレッラのソース
◎そば粉のニョッキ
たとえば、ルッコラのペーストを練りこんだ“ルッコラの
ニョッキ”はトマトソースの赤色と緑色のニョッキとの
コントラストが食欲をそそる一品です。
ジャガイモと粉をこねてつくるニョッキは、簡単なようで
意外とつくり方にコツがあります。
ジャガイモの漉し方がポイント。
ジャガイモが熱いときに手早く行うことと、
木べらを手前にひいて漉すのではなく、
真上から漉し器に押し込む感じにすること。
空気を含んだふわふわなニョッキに仕上げるコツです。
素材のおいしさ、味、香り、色、食感を大切にし、ニンニク、
唐辛子をつかわない植竹氏こだわりの自然派イタリア料理を
味わえる一冊です。
著者:伊崎裕之 価格:2415円(税込)
おいしいパスタをつくるための、原則、基本便利材料基本を
はじめ、乾燥パスタと生パスタの2部構成で掲載しています。
乾燥パスタの項では、オリーブ油、トマト、クリームなどの
ベース別に、生パスタの項では、卵入り生地と卵なし生地、
ニョッキ生地と成形をご紹介しています。
そして、伊崎シェフがつくるニョッキ生地は、ジャガイモと
中力粉、パルメザンチーズを加え、練り込んだもの。
この生地をつかい、本書では“生トマトとゴルゴンゾーラの
ニョッキ”ご紹介しています。
生クリームと合わせることが多いゴルゴンゾーラは、
トマトとの相性もよく、もさっぱり食べたいときはおすすめ。
ニョッキ生地は成形後に冷凍保存ができるので便利なうえ、
いったん冷凍すると生地に弾力が増すんそうですよ。
全品に大きく見やすい出来上がり写真と、パスタに
からめる直前のソースの状態がわかる写真もついているので
ご参考になることと思います。