湯葉の歴史は古く、もともと中国の精進食としてつくられ
ていたもので、禅僧によって京都に伝わり日本で精進料理
の素材として広まったといわれています。
日本では、京都の京湯葉、日光の日光湯葉など、宗教に
縁の深い地方で普及し、京都では主に「湯葉」、日光では
「湯波」と表記されます。
京都と同様に湯葉の名産地である日光。
日光へいったときに、“ゆばラーメン”を食べました。
しなちく、わかめ、ほうれん草など入った正油ラーメンに
巻き湯葉(平らな湯葉を太さと変えて巻いたもの)が2切れ
入ったとてもシンプルな一品でしたが、スープをふくんだ
湯葉はしっとりしていて、とても美味しかったです。
魚や野菜など10種類の具を湯葉で包み、油で揚げた
和風春巻が入ったラーメンもあるそうなので、
次に行ったときは、食べてみたいですね。
さて、最近では、飲食店でも湯葉をつかった料理メニューが、
増えてきました。低カロリーの健康食品としても注目され、
特に女性には人気です。
湯葉は、豆乳を加熱して、表面に凝固したたんぱく質の膜を
すくいあげてつくる、大豆の加工食品です。
大きくわけると“生湯葉”と“乾燥湯葉”に分けられます。
大豆の香りとうまみがあり、やさしい風味は、どんな食材
とも相性がよく、煮たり、焼いたり、揚げたりと調理方法
によっては、さまざまな食感を楽しむこともできます。
日本料理や中国料理だけでなく、西洋料理など、ほかの
ジャンルでも今後ますます気になる食材ですね。
著者:山本豊/久田大吉/脇屋友詞/譚彦彬/木村春子監修
価格:4200円(税込)
干しシイタケなど身近なものから高級素材まで22種類の
乾物を一項目ずつ詳細な解説、もどし方と料理の数々を
料理篇、知識篇の2構成でご紹介した一冊です。
中国料理においてもっともなじみの深い素材の“湯葉”。
本書では、湯葉の基本的な下処理のプロセス(写真つき)、
処理時のポイントとアドバイス、そして、料理を6品
掲載しています。
“腐衣カオ素方(フゥ イ カオ スゥ ファン)ゆばの北京ダック風”。
*カオ=[火(部首)考(つくり)]
半乾燥した湯葉にタケノコ、クワイなどのみじん切りを
はさみ衣をつけて揚げ、北京ダックに見立てた一品。
中国料理の精進料理には、精進材料だけで肉、魚にみたてて
つくる擬製料理があり、湯葉はこうした料理には欠かせない食材です。
ほか、料理篇を担当している4人の著者の乾物にたいする思い、
それぞれの店の湯(タン:だし)のレシピも掲載。
ご参考に。
◆「穀菜和食」
著者: 松本光司 価格:3150円(税込)
玄米を中心に植物性食品をバランスよくとる玄米菜食である
マクロビオテック。
まずは、マクロビオテックとは何かをわかりやくすく解説し、
おいしく食べるためのレシピを240品と豊富に掲載しています。
そして、今回ご紹介の“湯葉”は、マクロビオティック・フード
には、適材した食材です。
本書では、湯葉をつかった料理を7品ご紹介しています。
その中のひとつ“湯葉のみどり酢餡かけ”。
最近では、手に入りやすくなった巻き生湯葉をつかった一品。
キュウリをすりおろし、柚子酢などをくわえた餡の上に
片栗粉をつけ菜種油で揚げた巻き湯葉をのせ、白髪ネギ、
赤ピーマンをせん切りにし盛りつけます。
暑い日が多くなるこれからの季節に、彩りもよくおすすめです。
ほか、基本の玄米の選び方から炊き方、だし、調味料なども
詳しく解説。野草早わかり一覧表、材料別料理別の索引も
ついているので便利ですよ。
◆「そばうどん第三十四号」
価格:2940円(税込)
専門誌「そばうどん」のバックナンバーです。
特集1では、酒類の導入に積極的なお店やそば店での
酒の活かし方など、特集2では、国産小麦粉の魅力、
生産の現状と最近の国産小麦品種などを掲載しています。
本号でも、そば・うどん店の新たな食材として、種ものや、
酒の肴などにつかうお店が増えている“生湯葉”のメニュー
実例、技術講座をご紹介。
メニュー実例では、生湯葉をうまく商品に取り入れ、
人気のあるそば店3店の人気商品をご紹介。
◎蕎楽亭(東京・市ヶ谷)
◎咲良(神奈川・関内)
◎東山織田(東京・中目黒)
例えば、その中の一品。
“くみ上げ湯葉のべっこう餡掛け3種”。
三角形のグラスに下から、湯葉、刃たたきしたオクラ、
その上にウニを盛りつけ(他2種は、ホタテ貝、車エビ)
だし、淡口醤油、みりんで味をつけし、葛でとろみをつけ
冷やしたべっこう餡を流しいれたもの。
3層(白、緑、オレンジ)になった色合いがとてもキレイで、
味も食感も気になる一品です。
そして、技術講座では、手軽につくれる生湯葉をつかった
料理を7品(レシピ、写真つき)、湯葉の製造工程、
成分表など、生湯葉の知識と活用法も掲載しています。