ドイツのクリスマスには欠かせない“シュトーレン”。
スライスしてお茶のお供として食べるのはもちろん、
ドイツでは、バターをぬったりチーズをのせたりしながら、
いろいろ楽しんでいるようです。
◆「酵母から考えるパンづくり」
著者:志賀勝栄 価格:3675円(税込)
天然素材からおこす自然発酵種(天然酵母)を
解説したプロのための本格派製パンテキスト!!
本書では、イーストに加えて、イーストからおこす老麺、
レーズン種、ルヴァン種、ルヴァン液種、ホップ種、
サワー種スターターからおこすサワー種、レモン種の
7種類の各酵母をつかったヨーロッパ仕込みの本格パンを
掲載しています。
発酵種の仕組みから発酵種づくりの注意点、パンづくりの基本、
粉の知識など、掲載の45品のパンづくりに必要な知識を掲載。
発酵種はそれぞれ特性と、配合・条件(一覧表)、日を追うごとに
変化する発酵種の様子を写真と詳細な解説つきで、
とてもわかりやすいです。
本書でもルヴァン種を用いてつくられる“シュトーレン”を
ご紹介しています。
志賀さんがつくるシュトーレンは、グラッパと赤ワインに
漬け込んだフルーツとナッツをぎっしり詰め、ビスケットのような
ざくざくした食感が味わえる一品。
バターとバニラの香りで濃厚なコクがあるシュトーレンですが、
ルヴァン種の酸味が隠し味となり、こってり感がやわらぎ、
甘みと酸味のバランスのよい味わいになります。
仕上げでは、バターを中までしみ込ませず、浸した後すぐに
冷凍庫に入れて表面を固まらせ、バターの膜とまぶす砂糖で
二重に覆うことで、空気を遮断して日持ちがする菓子が出来上がります。
密閉保存なら一ヶ月ほど美味しくいただけるそうです。
ほか、巻末では、手元の写真をふんだにつかった、丸め・成形の手順や
本書で使用した材料や機器・道具類なども掲載しています。
◆「ルヴァンの天然酵母パン」
著者:甲田幹夫 価格:2520円(税込)
日本における天然酵母パン店の草分けとして
知られるルヴァンの技術を完全に解き明かした一冊。
家庭でつくれる手ごねレシピ、本格派のためのルヴァンの
レシピ、砂糖をつかわないでつくるクロワッサンや
パイ、キッシュなども掲載しています。
本書でご紹介しているシュトーレンは、
国産小麦中力粉と国産ライ麦粉でをつかっています。
一般的なシュトーレンとして知られている砂糖での
コーティングはなく、砂糖はつかわず、はちみつの
甘さだけでつくるやさしい味わいの一品です。
写真とともに解説しながらの作業工程には、
写真の横にミキチングから、発酵、成形などにかかる
時間を表示。仕上げまでの一連の流れがわかりスムーズに
作業が行えます。
そして、ご家庭でもつくれるように、10個用、3個用の
2種類の配合が掲載されています。
甘いものは“ちょっと苦手”という方にも
本書のシュトーレンはおすすめです。
食べた方が健康になり、心もなごむようなパンを
つくりたいと願いながらつくられるルヴァンのパン。
甲田さんの思いのつまったパンのおいしい食べ方、
パンに合う料理もご紹介しています。
◆「cafe-sweets vol.46」
価格:1260円(税込)
cafe-sweetsのバックンバンバーです。
本号の特集は「ケーキ店・パン店・カフェ 店づくり新時代」。
既存のイメージにとらわれない、オーナーの個性、
生き方を反映させた新タイプの店を多数ご紹介しています。
本書の連載(36号?48号)
「山崎 豊シェフに学ぶ パンづくりの基本とアレンジ」
第10回(本号)では、“シュトーレン”をテーマに
2種類のシュトーレンと1種類の発酵菓子を掲載しています。
◎クリストシュトーレン
熟成させることで、漬け込んだフルーツから洋酒がしみ出し、
しっとりとしたバターケーキのような食感が味わえる一品。
本生地、中種には、灰分の少ないフランス粉(小麦粉)を
使用し、フルーツやナッツの味わいを引き立てます。
漬け込むフルーツは、できれば一ヶ月以上前が理想だそうですが、
一週間前ぐらいでも美味しくつくれます。
販売されているフルーツの洋酒漬けをつかってもいいですよね。
ほか、ピスタチオ入りマジパン、コーティング用のバニラシュガー、
シュトーレンの型がない場合の焼き方なども掲載しています。
◎ヌースシュトーレン
ヌースとは、木の実という意味。
ローストしたヘーゼルナッツを練り込んだフィリングを
シュトーレンの生地でロール状に巻いた木の実の風味が
生きる秋のシュトーレン。
フィリングから水分が生地に浸透するので、しっとりとした
味わいの一品。
巻き上げ後、正三角形に近い形に整え、焼き上がったら
バターをぬり、バニラシュガーをまぶします。
切り口の渦巻き模様がかわいらしい一品です。
◎ベラベッカ
ベラベッカとは「洋ナシのパン」という意味。
フランスのアルザス地方でクリスマス時期に食べられる
お菓子です。
卵とバターをふんだんにつかったブリオッシュの生地に
セミドライの洋ナシ、洋酒やスパイスに漬け込んだ
ドライフルーツやナッツをぎっしり混ぜ込み、焼き上げた一品。
シュトーレン同様、薄くスライスして味わいます。
3種類ともに出来上がりの分量は11から14個分と多めです。
ご家庭ではちょっとという方でも、材料や使用する素材などを
ご参考にしてみてください。
シュトーレンは、「クリスマスの時期以外でも、組み合わせ次第で
楽しめるとお菓子です」と山崎シェフ。
季節によって漬け込むフルーツを変え、バリエーションを
楽しんでみるのもいいですね。