鯛は、タイ科ですが、甘鯛は、アマダイ科アマダイ属の鯛。
細長い体に、丸い頭が特徴。
警戒心が強く、深海の砂に穴を掘って棲息します。
身質は水分を多くふくみ、とても柔らかいので刺身には
むきませんが、適度に水分を抜いて旨みを引き出す工夫をすると
おいしくいただけます。
甘鯛という名前は、
“身が甘く感じるから”という説、
“甘(うま)いから”などの説があるようですね。
日本近海でとれる主要なものは、白甘鯛、赤甘鯛、黄甘鯛の
3種類。その中でももっとも多くとれるのは赤甘鯛です。
地域によってさまざまな呼び名が変わり、京都では“ぐじ”、
大阪では“グズナ”、福岡では“コズナ”、
北陸では“クジ、タズ”、高知では、“ビタ”、
山口、萩では“バトウ”などと呼ばれています。
◆「魚づくし」
著者:中嶋貞治、上野 修、奥田 透 共著
価格: 3,780円(税込)
伝統と新しい技術、工夫を盛り込んだ創作の魚介料理を
酒肴からご飯まで80種類以上の魚つかい203品の料理を
掲載した一冊。
本書では、8品の甘鯛の料理をご紹介しています。
たとえば、“甘鯛アーモンド焼”。
アーモンドのペーストを加えた幽庵地に、三枚におろし切り身に した甘鯛を漬け込んみ焼いた一品。
つけ地は、幽庵地(濃口醤油、酒、ミリン、ユズ)に
ペースト状にしたローストアーモンド、スライスアーモンド、
粒味噌を加えたもの。
ナッツの独特香ばしさが食欲をそそります。
アーモンドのつけ地は、白身魚にとてもあうので、
甘鯛だけでなく別の魚(白身魚)でも応用できます。
そして、もう一品。
甘鯛の頭をつかった“白甘鯛の難波煮”。
霜焼にした甘鯛の香ばしさを青ネギの香りが楽しめる一品。
だしに白甘鯛の旨みをだすには、塩焼にするくらい、
甘鯛にしっかり塩をするのがポイントです。
3人の割烹料理店主人の魚介料理、素材をすべてつかいこなす
工夫なども参考になります。
◆「常備菜の手帖」
著者:上野修三,村上 一,平井和光,結野安雄,北岡三千男
価格: 3,150円(税込)
まとめてつくっておけば広く応用できる便利な“常備菜”。
季節素材をつかった85品の常備菜と応用料理を四季ごと、
さらに素材ごとにご掲載した一冊。
関西では「ぐじ」と呼ばれる甘鯛。
本書では、“ぐじの一夜干し”を常備菜とし、
その一夜干しをつかった料理を3品ご紹介しています。
◎ぐじの一夜干し
◎ぐじの白和え
◎ぐじの紅葉和え
◎ぐじの果実釜盛り
常備菜としての“ぐじの一夜干し”。
本書では、背開きにした甘鯛を、塩水に昆布、酒、ユズや
スダチの搾り汁、赤トウガラシで漬けみ軽く風干しにした
爽やかな一品をご紹介しています。
そのまま焼きものにしたり、ほぐした身を和えものなどにつかえ、
2?3日間の保存も可能で、とても便利です。
ほか、豆腐やコンニャクなど身近な素材や乾物をつかった常備菜 も多数掲載しています。
何かもう一品をというときなど役立ちますね。
◆「だしの基本と日本料理」
著者:柴田書店編 価格: 3,150円(税込)
だし材料(昆布、鰹節、煮干しのおもな種類)の基礎知識、
だしのとり方を科学に視点から解説した一冊。
本書の前半では、だしについてしっかり解説。
後半では6店の日本料理店によるだしをおいしく味わう料理も
60品掲載しています。
それらの中に“甘鯛”をつかった料理も3品をご紹介。
◎グジ小袖焼き目寿司
◎甘鯛 竹の子 甘酢あん
◎甘鯛からすみご飯
“グジの小袖焼き目寿司”は、
白板昆布から透けてみえる、ほんのりしたさくら色の甘鯛と
木の芽が美しい一品。
一番だしと二番だしで炊き上げ、合せ酢で酢飯にします。
三枚におろした甘鯛にのせ、棒状にし巻き、
甘鯛に少し焼き目をつけ、木の芽を飾り白板昆布を巻きつけ
5cmくらいの食べやすい大きさに切り分けて提供します。
だしで炊いてつくる酢飯と甘鯛との味わい、
見た目の華やかさもこころ惹かれます。
だしは、日本料理店によってつかう材料、とり方などに
違いがあります。
掲載6店の実際につかっているだしの材料、分量、とり方など
流れが分かりやすいよう図、詳しくご紹介していますので
ご参考にしてみてください。